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電気錠とは?構造や解錠方法の種類、選ぶ際のポイントを紹介

閉め忘れの防止や物理的な鍵の紛失を防止できる「電気錠」にはさまざまな種類があります。電気錠の内部機構によって仕組みが異なり、種類に応じて設置すべきポイントが異なります。

そのため、オフィスなどに電気錠を導入する時や構造や解錠方法の種類における違いを把握しておくことが大切です。

この記事では、電気錠とは何か、内部機構の種類から解錠方法の種類まで徹底解説します。電気錠の導入で得られるメリットや選び方についても解説しますので、あわせてご参照ください。

▼このコラムを読んでもらいたい方

  • ・「電気錠」の性能や種類が気になる方
  • ・オフィスに新しく電気錠を導入しようと考えている方
  • ・電気錠の違いが分からない方


▼このコラムを読んで得られる情報

  • ・電気錠の種類や仕組み
  • ・電気錠の機能性や解錠方法
  • ・電気錠を選ぶ時に気をつけたいポイント

1.電気錠とは

1.電気錠とは

電気錠とは、電気の力を利用して施錠・解錠を行える錠前です。つまみのサムターンを回したり、鍵穴に子鍵を差し込んだりする手間も掛からず、遠隔で電気的に施解錠を行えます。
電気錠には自動施錠に対応した種類もあり、鍵の閉め忘れを防げたり、鍵の開閉状態をアプリなどでチェックしたりできるのも魅力です。

身近な要素ではマンションやホテルの「オートロック」が近しく、非常口や玄関、オフィスドアなど幅広いシーンで利用されています。

ただし電気錠は、自動ドアと違って扉そのものには通電しないため、ドアの開閉まで自動化することはできません。あくまで電気錠は錠前を電気によって操作し、鍵の施解錠を行う仕組みです。

2.電気錠の内部機構の種類

2.電気錠の内部機構の種類

電気錠の内部機構にはいくつかの種類があり、仕組みも異なっています。具体的な内部機構の種類は以下のとおりです。

  • ・モーター式電気錠
  • ・瞬時通電施解錠型電気錠
  • ・瞬時通電解錠型電気錠
  • ・通電時解錠型電気錠
  • ・通電時施錠型電気錠
  • ・電磁錠


ここでは、電気錠の内部機構における種類について、それぞれの特徴を解説します。

2-1.モーター式電気錠

モーター式電気錠は、通電するたびにモーターが駆動して施錠・解錠する種類です。停電時は原則として停電前の状態を保つ仕組みですが、鍵やサムターンを使って物理的に開閉できるため、閉じ込め被害などに遭う心配はありません。

2-2.瞬時通電施解錠型電気錠

瞬時通電施解錠型電気錠は、通電した瞬間に電磁石が動作して瞬時に施錠・解錠する種類です。ノブやレバーハンドルなどを備えたケースロックタイプの電気錠で、停電時は原則として停電前の状態を保ちます。

モーター式電気錠と同じく、鍵やサムターンを使って物理的な開閉が可能です。

2-3.瞬時通電解錠型電気錠

瞬時通電解錠型電気錠は、通電した瞬間に鍵を開ける「解錠操作」を行う種類です。非常階段などに取り付けられる事例が多く、火災報知器などと連動して非常時に避難経路を確保するシーンに活用されています。

2-4.通電時解錠型電気錠

通電時解錠型電気錠は、電気が通っている時だけ鍵を開ける「解錠操作」を行う種類です。停電などのトラブルが発生すると自動的に施錠する仕組みで、混乱時に不審者が侵入できないよう、銀行やサーバールームなどで活用されています。

2-5.通電時施錠型電気錠

通電時施錠型電気錠は、電気が通っている時だけ鍵を閉める「施錠操作」を行う種類です。停電時は自動的に解錠されるため、普段は出入りを制御したい非常口などで活用されています。

2-6.電磁錠

電磁錠は、通電している間は非常に強力な磁力で吸着し施錠する種類です。強力な電磁錠は200kgを超す力で引っ張り合うため、人の力だけでは開閉できません。電気錠の中でも可動部がない構造のため、ほかの錠前と違って耐久性の高さが魅力です。

電磁錠タイプは、ほかの電気錠とは異なり「引き戸」に対応した製品も多く登場しています。

3.電気錠の解錠方法の種類

3.電気錠の解錠方法の種類

電気錠を解錠する方法にはいくつかの種類があり、それぞれ仕組みや機能性が異なります。電気錠の代表的な解錠方法は以下のとおりです。

  • ・ICカード
  • ・暗証番号
  • ・スマホ
  • ・生体認証


ここでは、電気錠の解錠方法について、各種類の仕組みや利便性を解説します。

3-1.ICカード

ICカードは、クレジットカードのようなカードを検知部にタッチ・差し込んで電気錠を解錠する仕組みです。クラウド型入退室管理システムと連動していれば、ICカードごとの権限設定を気軽に変更しやすく、万が一の紛失時も入退室権限を取り除けます。

そのため、物理鍵を紛失したトラブル時のように錠前ごと交換する必要もありません。ICカードは財布や定期入れなどに収納しやすく、紛失しにくいのがメリットです。

3-2.暗証番号

暗証番号は、電気錠の種類によってテンキー・タッチパネルに規定の番号を入力して解錠する仕組みです。ICカードと違って「モノ」を使わないため、「紛失しない」「利用人数が可変してもコストが掛からない」などのメリットがあります。

また、暗証番号自体も定期的に変更できるため、一定のセキュリティを保てるのが魅力です。一方で、同じ暗証番号を複数名で使用している場合は「いつ、誰が入退室したのか」といった個人を特定するレベルの入退室ログは取得できません。

3-3.スマホ

各電気錠を解錠するために、スマホアプリを活用して施解錠する仕組みです。電気錠の種類によっては、スマホのNFCなどを活用して、検知部にタッチするだけで解錠できる製品もあります。

無線通信で操作できるほか、必需品でもあるスマホを活用できるため、ICカードより忘れないのがメリットです。

3-4.生体認証

生体認証は、「顔」「指紋」「虹彩」「掌紋」など個人固有の情報を活用して施解錠する仕組みです。電気錠の種類によってどの部位を生体認証として使うかが異なり、導入に適したシーンも異なります。たとえば、マスクの多い生鮮工場では「虹彩」、比較的通行量が多い場所では「指」、セキュリティ的に重要なスポットは「顔」などです。

生体認証は個々の情報を活用するため、不正利用されにくく、さらに紛失トラブルが起きないメリットもあります。

4.電気錠を導入する4つのメリット

4.電気錠を導入する4つのメリット

電気錠にはさまざまな種類があるものの、各製品で共通して得られるメリットがあります。電気錠の導入で得られる代表的なメリットは以下のとおりです。

  • ・遠隔で扉の施解錠ができる
  • ・鍵を持ち歩かなくて良い
  • ・入退室管理と連携できる
  • ・権限設定が簡単にできる


ここでは、電気錠を導入する4つのメリットについて解説します。

4-1.遠隔で扉の施解錠ができる

電気錠を導入すれば、遠隔で扉の施解錠ができるため、「迎え」や「鍵当番などの出勤が必要なくなる」点がメリットです。たとえば、インターホンと連携すれば、訪問者が来た時に事務所から玄関へ鍵を解錠するために移動する手間もなくなります。

また、クラウド型の製品では鍵を開けるための鍵当番がオフィスに出社しなくても、遠隔で扉を施解錠できるのが魅力です。

4-2.鍵を持ち歩かなくて良い

電気錠を導入すれば、鍵を持ち歩かなくて良いため、「携帯品を減らせる」「紛失トラブルを減らせる」点がメリットです。

電気錠の種類によっては物理鍵の代わりとなる「ICカード」が必要なものの、テンキー入力式や生体認証システム、スマホの施解錠に対応した電気錠なら、鍵を持ち歩く手間は必要ありません。

また、ICカードも定期入れやお財布に入れて管理しやすいため、「鍵を忘れて入室できない」といったトラブルを最小限に抑えられます。

4-3.入退室管理と連携できる

電気錠の種類によっては、入退室管理システムと連携できるのもメリットです。入退室管理システムとは「いつ、誰が入退室したか」をログとして保存できる仕組みで、種類によっては、勤怠管理システムとも連携できます。

入退室管理と連携できるタイプの電気錠なら、個々のICカードやスマホ、生体認証などで照合して入退室するだけで、入退室ログを保存できます。

さらに、拡張次第では出退勤時間の管理をほぼ自動化して、タイムカードをつける手間もなくなるのが魅力です。働き方改革関連法では労働時間を客観的に記録することが企業義務となっており、入退室管理システムと連携できるタイプの電気錠は大きな注目を集めています。

4-4.権限設定が簡単にできる

電気錠の種類によっては、権限設定が簡単に行えるのもメリットです。電気錠タイプのクラウド型入退室管理システムでは、Web管理ツールでユーザー情報や入退室可能な権限をいつでもどこでも簡単に変更できます。

ICカードを紛失すればそのカードだけ無効にしたり、ゲスト向けに一時的な入退室権限を付与したりと、柔軟な対応が可能です。その結果、「物理鍵を紛失した際に錠前を交換する」といったコストもカットできます。

5.電気錠を選ぶ際のポイント

5.電気錠を選ぶ際のポイント

電気錠にはいくつかの種類があり、解錠方法や仕組みを含めてセキュリティレベルが異なるため、シーンに合う製品を選ぶ必要があります。電気錠を選ぶ時のポイントは以下のとおりです。

  • ・用途
  • ・解錠方法の種類
  • ・使用人数
  • ・予算


ここでは、電気錠の選び方について解説します。

5-1.用途

電気錠を選ぶ時は、用途にあわせた種類を選ぶのがベストです。たとえば、オフィスビルなど人の出入りが多い場所では、ICカードを使ったスムーズな入退室が理想的です。

一方で、集合住宅や戸建てなどの自宅では、鍵を持ち運ぶ手間を考慮して暗証番号や指紋認証式の電気錠を選ぶ事例もあります。

また、オフィスで活用するといっても、「エントランス」「共用部出入り口」「サーバールーム」「会議室や執務室」など求められるセキュリティに大きな違いがあります。

外部犯罪を防ぎたいのか、内部犯罪を防ぎたいのか、どのようなセキュリティレベルを求めているのかに応じて設置すべき電気錠の種類が異なるのも事実です。導入前に扉の区画分けを行い、どのような用途かを明確にした上で導入する電気錠の選定をおすすめします。

5-2.解錠方法の種類

先述した通り、電気錠には解錠方法に種類があり、「暗証番号」「ICカード」「スマホアプリ」「生体認証」などによって使用感が大きく異なります。

加えて、「裏口などセキュリティがそこまで重要でなければ暗証番号」「エントランスなど人通りが多く入退室をスムーズにしたければICカード」「サーバールームなど重要なエリアで厳しい制限を掛けたければ生体認証」など、解錠方法によって設置に適したエリアが異なる点も要注意です。

また、入退室管理システムや勤怠管理システムと連携させる時は、「スマホアプリ」「生体認証」も選択肢に上がります。理由として、暗証番号やICカードは共有されてしまう事例もあり、「いつ、誰が入退室したのか」の管理に適さない面があげられます。

とはいえ、ICカードタイプの電気錠は、使用感や性能で優れたコストパフォーマンスを発揮するのも事実です。入退室管理を重視して電気錠の種類を選ぶ時は、ICカードの共用を禁じるルールを打ち出すなど、社内ルールの変革が求められます。

5-3.使用人数

電気錠を選ぶ時は、全体の使用人数を踏まえて選ぶのをおすすめします。たとえば、朝の出社ラッシュなどで認証に時間が掛かる製品を導入してしまうと、入口が混雑してしまうのは避けられません。

1日あたりの出入りや、集中する時間帯を踏まえた上で、スムーズに運用できる認証方法の電気錠を導入するのがベストです。スムーズな通行を実現するには、ICカードタイプの電気錠など、認証を比較的スピーディに行える種類が理想的です。

5-4.予算

電気錠を選ぶ時は、予算を踏まえて製品の比較検討を行うことをおすすめします。電気錠の認証方法(解錠方法)はもちろん、建物や扉の構造によっても、導入に掛かる費用は大きく異なります。

電気錠は配線工事が必要なため、現地の見積もりによって掛かる費用感が変動するのは避けられません。そのため、「製品単体」の価格だけでなく、導入に掛かる工事費用も計算に含めることが大切です。配線工事の費用は、専門業者の見積もりなどを通して算出できます。

また、入退室管理システムなどと連携する電気錠を選ぶ時は、月々のランニングコストも必要です。月々の費用感も製品によってそれぞれ異なるため、「製品単体」「工事費用」「月々のシステム利用費」を踏まえて電気錠の種類を比較検討する必要があります。

6.電気錠ならアリゲイト

電気錠にはさまざまな種類があり、解錠方法や種類によっては、人の出入りが多い場所に適さない製品があるのも事実です。そのため、オフィスに電気錠を導入する場合はシーンに適した製品を導入する必要があります。

もし、「社員の入退室時間も管理したい」「瞬時に解錠できるスムーズさを重視している」「遠隔操作したい」などをお考えでしたら、ぜひこの機会にセキュリティ専業メーカー「アリゲイト」の電気錠タイプの入退室管理システムをご利用ください。

ICカードやスマホ操作に対応したアリゲイトなら、瞬時に解錠するため、朝の出社タイミングでも混雑を防げるメリットがあります。加えて、クラウド型の入退室管理システムにより、多拠点の入退室ログを一元管理できるのも魅力です。

ユーザー登録やログ管理を手軽にして、勤怠管理を実現できるため、客観的な労働時間の把握にも役立ちます。きめ細やかなサポートで導入後のご相談や万が一のトラブルにも対応いたしますので、興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽に「アリゲイト」までご相談ください。